カテゴリ:6年
経験をショートカットさせてはいけない~6年図工
「私の大切な風景」。6年生が図工で取り組んでいる題材です。昔の人たちはこういう場面を見ると,「あっ,写生ね,懐かしいサぁー」という感じでとらえてしまうのですが,ちょっと違います。少なくとも,風景をナマのまま,かき写す,というわけではありません。あれこれ理屈を言い始めるときりがないのですが……(笑)。どちらかというとこんな感じです。
まずは主題に相当するようなものを生成する。この題材の場合は「私の大切な」に当たります。6年生まで生活してきた学校という空間の中で,大切だった,大切な…風景ってどんな……?というところから,かきたい(表したい)ことを見つける,ということです。
教室回りをしていて,絵をかく子供たちに思わず「いいところ,選びましたねえ……」なんて声をかけてしまうのだけど,その「いいところ」はあくまでも私が思った「いいところ」でしかなく,その子にとっての「いい(=大切な)ところ」は,もっと作品を深くみたり,作者の言葉に耳を傾けたりしないとわからないのだ,ということになります。
図工の教室では,先生からの様々なアドヴァイスが……
「“くろ”はね,そのままチューブから出して使っちゃうと,強くなっちゃうから,自分でつくってみましょうね!」
黒は自分でつくる……ここからさまざまな学びが広がります。その学びの履歴はパレットに残されていきます。
一人一台端末で撮った写真を参考画像とし活用している児童もいます。これについては……,昨年(2023年)の横須賀市児童生徒造形作品展の折にいただいた,小林教科調査官(図工美術指導にかかる国のトップ=学習指導要領編集責任者)のご指導をいつも念頭に置いています。
「コロナ禍によって、一人一台端末が普及して、図工でもどのような活用の仕方ができるか、様々な検討や実践が行われました。しかし今はただ使うのではなく、どのような場面で使うと効果的なのか…ということを検討する段階に入っています」
例えば、「学校の風景」を絵に表す題材で、端末の写真機能を使ってその風景の写真撮影をして、その画像を見ながら絵を描 いていたとしたらどうでしょうか 。 小林先生からは、感性や想像力を働かせるには、実際に触れたり見たりすることが大切 とご助言いただきました。そして、「経験をショートカットさせて はいけない 」という新たな角度からも図工について 考えていきたいと思いました 。(横須賀市造形教育研究会「図工web」より)
児童の皆さんそれぞれの「大切な風景」って……?,作品の完成を楽しみにしています。
公開日:2024年05月23日 14:00:00
更新日:2024年05月27日 13:15:53