カテゴリ:02-働き方改革と一体化したカリ・マネ
6年生担任でも定時で帰れる学校~本校の働き方改革はどうなっているのか

カテゴリ:02-働き方改革と一体化したカリ・マネ 6年生担任でも定時で帰れる学校~本校の働き方改革はどうなっているのか

 5/13付で国の中央教育審議会(質の高い教師の確保特別部会)から審議のまとめ『「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する 総合的な方策について』(以下『5.13まとめ』)が発表されました。 ここには,“学校における働き方改革の更なる加速化”に向けてさまざまな具体策が提示されています。これを受けて本校では標記のスローガンを掲げました。そのココロは……

▶ 「教職員定数」や「処遇」改善に着手?
 60ページにも及ぶ『5.13まとめ』の内容は,昨年8月末に公開された『(緊急)提言』(以下『8.28提言』)で取り上げられていたものの続報が多くを占めています。今回,さらに具体が示され,さまざまな視点で報道されているのが,「教職員定数」や「処遇」の改善にかかわる内容。いずれもお金にかかわる話なので,ここで扱うにはちょっと問題が大きすぎるのですが……。
 ただ,中でも我々現場関係者の目を引いたことの一つは「学級担任手当」や「持ち授業時数」の在り方にかかわるものでした。これは「お金」の問題に言及する以前に,学校ごとのマネジメントによるやりくりの余地を残すものだからです。

▶ 授業時数と持ち時間数って……?
 学年ごとの年間総授業時数は学習指導要領で,表のように定められています。ただ,これがそのまま授業時間に組み込まれて,教員一人当たりの持ち時間に反映されているかというと,その限りではありません。
 低学年では横須賀独自の「外国語活動」の時間が組まれているほか,1年生のスタートカリキュラム(幼-小を円滑につなげるための指導時間)などが「余剰時間」の中に充当されています。
 上半分の学年では逆に,級外の先生が専科教員のような形で一定数の授業を担当して,学級担任の「空き時間」を確保しています。

▶ 勤務負担が偏らないように…
 このことにより,教員一人当たりの持ち時間は,ある程度均一になるように調整しているのですが,計算式が割り出す数字だけでは割り切れない要素も多々あります。例えば……
 特別支援学級の担任は,実態として,空き時間がありません。級外の先生たちも,ひとたび補欠の要請があれば,代替者として出動することが求められます。ときには,校務分掌とは別にいわゆる“隙間シゴト”をこなさなければならない局面も多くあります。
 これらに加えて育児等にかかる短時間勤務や部分休業等,ワークライフバランスにも配慮しなければなりません。様々な条件を総合的に考えあわせて,教職員間で勤務負担が偏らないような調整を図っています。

▶ 「学級担任手当」新設?
 とはいっても,学級担任の負担が相当なものである(勤務時間外の在校時間が長い),ということが調査で明らかになっています。これを受けて,『5.13まとめ』(p.51)では,職務の負担に応じ,「学級担任について手当額を加算することの必要」性が,新たに示されました。
 ただ,実際に見直すとなると,あれこれ難しい問題も出てきそうです。『5.13まとめ』でも触れているように,複数担任制や教科担任制の導入等によって,学級担任の負担軽減を図る余地があれこれ残されているからです。
 そうでなくてもこの「学級担任手当」の制度化までには,まだまだ時間がかかりそうです。そのさ中にあっても児童の皆さんの学校生活は日々,続いていくわけで……。
 そこで掲げたのが,標題にある「6年生でも……」でした。

▶ 6年生担任でも定時で帰れる学校
 “誰が”,とか“何年生が”とか,教職員間の“タイヘンさ”比べが始まると,それこそ大変なことになるので,もちろんそんなことはしていません。でもまあ,学級担任って大変だよね,とか,学年が上がればそれなりに大変になるよね……というのは誰もが認めるところだと思います。
 実際,上の学年の担い手不足で悩んでいる学校は少なくありません。学年担任が3年間持ち上がりになるのが普通になっている中学校とは違って,“小学校あるある”といってよいかも知れません……。
 本校の場合は,こういうことを平気で話題にできてしまえるくらいなので,管理職としては大変ありがたいな……と思っています。
 そこで,このスローガン。
 ユニバーサル・デザインの考え方と同じで,より大変そうな方たちにとって優しい環境づくりは,そうでない人たちにとってもご利益のあるものになる。それがやがては教職員のみならず,児童・保護者・地域の皆様のwell-beeingにつながっていく……。
 この考え方を常に念頭に置いて,「6年生でも定時で帰れる学校」を目指していきたいと思っています。

★ この考え方の初出記事は学校運営協議会報告(R5年度第2回)にあります。過去の協議記録とも併せてご参照ください。

公開日:2024年05月24日 09:00:00
更新日:2024年06月12日 12:12:35