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カテゴリ:02-働き方改革と一体化したカリ・マネ
全職員参画型「カリ・マネ」~拡大企画会-3(1/8) -
昨年末に行った全体会を受けて,児童や地域等について洗い出した諸課題をまとめつつ,具体的な教育活動に落とし込んでいくため,少人数での熟議を行いました。メンバーはグループリーダー(総括教諭)に研究推進担当を加えた5名と,管理職で構成しています。
メンバー間の様々なやり取りを聞いていて,みんな,よく考えているなあ……と思いつつ,今,この業界で飛び交っている様々な考え方,言説との関連を,私は考えていました。
やたらと文字情報が多くなってしまい恐縮ですが,以下,レポートします。
前回の取組 第1回全体会
★ 文中,緑文字は,文部科学省の発出物に登場する関連事項など
『9.18論点整理』 『12.25諮問』▶ 「かがやく心 かがやく力」
⇒ 文言は変更しないがその定義,意味づけは再確認が必要
⇒ 「心」は多様な人たちを理解し受け容れる心? 社会情動的スキルや非認知的な能力?
異なる価値観を持つ多様な他者と、当事者意識を持って対話を行い、問題を発見・解決できる、「持続可能な社会の創り手」を育てる必要性がこれまで以上に高まっている
⇒ これに対して「力」は,生涯にわたって様々な困難を乗り越えていくための,認知的な能力,技能など。
生産年齢人口が急減する中,テクノロジーを含むあらゆる資源を総動員して、全ての子供が多様で豊かな可能性を開花できるようにすることが、我が国の未来のために不可欠
⇒二つを両輪として位置付ける考え方が必要
⇒ 研究推進の取組は,これを具現化するための「実践の共有とブラッシュアップ」の機会と考える▶ 学習指導について
⇒ “本物”体験をできるような学習活動ができるとよい。地域人材などゲストティーチャーの招へいも含めて…。
社会に開かれた教育課課程の実現/学ぶ意味、社会やキャリアとのつながりを意識した指導/単なる個別知識の集積ではない深い意味理解を促すことや、学ぶ意味や社会とのつながりの更なる明確化/本質的な問い・探究課題など/習得した知識を現実の事象と関連付けて理解,イメージ/生成AIには扱えない概念としての知識の習得や深い意味理解
⇒ 一斉指導だけに終始せずに,児童個々が「自分に合ったやりかた」「自分のペース」で着実に学ぶことができるような指導,学習活動へのシフト。
多様な個性や特性、背景を有する子供たちを包摂する柔軟な教育課程/個別最適な学びと,協働的な学び
⇒ 学習評価と学校DX……例えばテストの採点。マル付けをサポートスタッフや採点ソフトに委ねる,の落とし穴ってない? 学習評価の本質を見失わないように……
採点業務の補助については教員業務支援員等と積極的に連携するほか,採点ソフトや校務支援システム等を一層活用/学習評価の質を高めていくことは、教師の力量形成や授業改善に直結するもの/「指導と評価の一体化」を一層進めることが重要▶ 支援教育,特別活動等の視点から
⇒ 「学校が楽しい」と思えるようにするために……子供たち同士をつなぎ,良好な関わり合いができるようにしたい
多様性を包摂し、一人一人の意欲を高め、可能性を開花させる教育の実現が喫緊の課題/「正解主義」や「同調圧力」への偏りから脱却するとともに、民主的かつ公正な社会の基盤として学校を機能させる
⇒ 学校生活や児童の関係性に変化をもたらす取り組みの再評価と価値づけ~特別活動(学級,児童会,異学年交流等の精選と充実)
社会の分断や格差の拡大を防ぎ、共生社会を実現する観点からも極めて重要
⇒ 教師が大切にしていることを感じて,受け継ぐ子供が増えるように…。ヒドゥンカリキュラム,文化的風土の根付きへ
⇒ 他者とよりよくかかわりあいながら,自分の力を伸ばして,成長していく姿を
⇒ レジリエンス,非認知的な能力の育成をしていきたいが…
調和と協調を重視する日本社会に根差したウェルビーイングの向上を図ることが必要▶ 学校運営・教務に視点を置いて
⇒ 先生たちが元気であることが学校を元気にする,先生たちが元気であれば,学校にも,子供たちにも活力が生まれる
教師の負担や負担感がどのような構造により生じているのか/教師の努力と熱意に対して過度な依存をすることはできず、教育課程の実施に伴う負担への指摘に真摯に向き合うことが必要
⇒ そのためのタイムマネジメント。タイム・マネジメントが多くの課題を解決に導く
⇒ 授業内容の精選,余剰時間の適正な充当,会議等の時間確保
教科書の内容が充実し分量が増加した一方、網羅的に指導すべきとの考えが根強く存在し、負担や負担感を生んでいる/教師の負担を可能な限り軽減しつつ、最新の教育内容を扱うことを可能とする方策/(柔軟な教育課程編成等が)教師に「余白」を生み、教育の質の向上に資する可能性をどのように考えるか★ 協議の内容は全職員で共有し,引き続き,熟議を重ねていきます。
公開日:2025年01月08日 12:00:00
更新日:2025年01月22日 14:16:05
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全職員参画型「カリ・マネ」その4~全体会2 -
「資質・能力」を育成するための「具体的な手立て」へ
放課後の時間をやりくりして捻出し,この取組を進めています。確保できる時間は,休憩時間(45分=一般的な職場の「昼休み」に当たります)を差し引くと,5校時までの授業日で1時間。6校時まで授業をすると30分程度になります。こんなあわただしいスケジュールで,熟議ができるの?……と言われそうです。でも,この取組を進めるにあたっては,「時間厳守!」を徹底するよう,確認しました。時間という限られた資源を有効活用することもまた,カリ・マネの目的だからです。
時間の有効活用と合わせて,私が教職員に申し伝えたのは,「今一度,ちゃんと勉強しなおしましょう!」ということでした。学校の先生たちは教材研究・授業準備や児童の生活指導など,目の前の課題に日々,追われるあまり,旬の情報の獲得や理解が後回しになってしまいます。未来,それも予測不能といわれるこれからの社会を生きていく子供たちに,どんな資質・能力を身に付けさせなければならないのか……。
これを常に念頭に置きながら,取り組みに参画できるよう,促しています。
* * *
今回は,1回目で洗い出した,根岸小学校の子供たちに,求められる資質・能力を育成するためには,どんな手立てを考えることができるのかを,付箋の色を変えて書き出しました。公開日:2024年12月05日 11:00:00
更新日:2024年12月22日 04:42:07
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全職員参画型「カリ・マネ」その3~全体会2 -
第2回全体会では,SWOT分析の結果を念頭に置きながら,本校の児童がこんな風に育って欲しいという,子供たちのあるべき姿(どんな資質・能力を育成し身に付けさせたいか)を,それぞれ書き出して,職員間で共有しました。
書き出した内容をまとめつつ,樹木のような学校教育像をイメージするグループ,そのままGD(グランドデザイン)のようにまとめつつあるグループ,学年段階を追って資質・能力の育成過程を想定するグループ……それぞれに描いたものを持ち寄り,共有しました。
年内の取りまとめ作業を経て,年明けには3回目の全体会につなげます。公開日:2024年11月27日 16:00:00
更新日:2024年12月02日 12:03:41
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全職員参画型「カリ・マネ」その2~取りまとめ編 -
先週のカリ・マネ全体会のSWOT作業を経て,そのとりまとめを行いました。メンバーは総括教諭(本校は4名構成)と研究推進の主担当者,管理職2名。
学年や低中高学年のブロックごと,校務分掌ごとに,目の前の課題や提案事項等の検討などをする局面はあります。でも,そもそも「根岸小ってどうよ!?」ということに改めて目を向けて,児童や保護者・地域ってどう? 教職員ってどう?……というようなことを全職員から集約した声(付箋)をもとにして話し合う機会は,多くはありませんでした。メンバーからはいろいろなコメントが出るわ出るわ……。(鳥肌モノの鋭い指摘もたくさん!)
その作業と合わせて,今後の進め方について検討,確認して,「取りまとめ編」を終えました。●SWOT分析って何?
学校の内外環境の分析と特色づくり(NITS 独立行政法人教職員支援機構 研修資料より)公開日:2024年11月13日 16:00:00
更新日:2024年11月15日 09:32:18
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全職員参画型カリ・マネ,始動! -
昨年度までは後期に入ったこの時期に,「年度末反省の取組が始まった」旨をお伝えしていましたが,今年度は新たに標記の取組を位置付けることになりました。
カリ・マネ(カリキュラム・マネジメント)については,これまでも「働き方改革」とセットにして話題にしてきましたが,これは元来,学習指導要領上で以下のように位置付けられているものです。(『総則』本文第1の4 下線 はそのポイント 原文に付加)4 各学校においては,児童や学校,地域の実態を適切に把握し,教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと,教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと,教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことなどを通して,教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくこと(以下「カリキュラム・マネジメント」という。)に努めるものとする。
★カリマネって何?~学習指導要領拾い読み(校内研修資料)
ここ2年(R4-5)ほどの間,学校運営上,さまざまな工夫・改善を進めてきました。児童の皆さんの教育指導に直接かかわるものとしては,『根岸こどもスタンダード(学校のきまり)』の大幅な見直しとそれに伴う,硬直化した指導(帽子忘れは体育授業即見学!など)からの脱却等がこれに当たります。職員の労務管理や施設管理の側面では,登校(昇降口開鍵)時刻の変更,欠席連絡や出怠勤記録等にかかるDX化,通学路の交通安全(路面標示の修復など)に資するための行政への働きかけなどを進めてきました。
これらを枝葉の部分の工夫改善(ミクロレベルのカリ・マネ),とするならば,今秋,新たに始めた取り組みは,樹木全体さらには学校という森全体のありようを改めて見つめなおし,大元となる考え方を再確認するための取組(マクロレベルのカリ・マネ),ということになります。
第一回目の全体会議では,「児童や学校,地域の実態を適切に把握」するために,SWOT分析という手法を用いて,根岸小学校の内部・外部環境を改めて見つめなおす作業を行いました。これに基づいて,次のステップである学校教育目標の再定義,教育内容の組み立て,教育課程の編成などに当たっていきます。
一連の作業の結果,カリ・マネのありようは,グランドデザイン(GD)という形で“見える化”していきます。また,取組に当たっては,現行の学習指導要領はもちろんのこと,完全実施からの5年間に文部科学省から発出された,さまざまな情報に触れ,これを踏まえていきます。
例えば,新しいところから……『今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会論点整理』令和6年9月18日
次期学指導要領改訂に向けた要改善点等がまとめられています。学習指導要領検討の段階から,周知方法の要改善点や,カリキュラム・オーバーロード(学習内容の“盛りすぎ”),ワーク・オーバーロード(教師の働き過ぎ),教育のDX化に触れている点など,学校が置かれている現状に即した論点が示されています。
https://www.mext.go.jp/content/20241003-mxt_kyoiku01-000038070.pdf「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(答申)(中教審第251号)令和6年8月27日
今年5月に発出された「まとめ」をさらに精査して「答申」としてまとめたものです。
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/079/sonota/1412985_00006.htm「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申) 令和3年1月26日
一人一台端末を有効活用した指導や,標題にある「個別最適な……」の考え方が示された答申です。
https://www.mext.go.jp/content/20210126-mxt_syoto02-000012321_2-4.pdf公開日:2024年11月07日 09:00:00
更新日:2024年12月02日 12:03:22
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カテゴリ:02-働き方改革と一体化したカリ・マネ
ポスター・標語・作文など、いろいろな作品大ぼしゅう! -
夏休みを前に,様々な作品募集のポータルサイトが更新されました。
夏休みの宿題文化を取り巻く環境は日々変わっています。本校では募集がかかっているコンクール作品等の取り組みを,のべつ幕なしに宿題(必須課題)として課すことをしていません。児童の皆さんの興味・関心を第一に考えた取り組みを推奨しています。
配布用の黄色いチラシと公式webサイトを活用して,自ら情報を獲得し,選択し……皆さんには,VUCAの時代対応型の取組を進めることができるよう,期待しています。●過去記事『夏休みの宿題 考』
➡校長あいさつ - 横須賀市立根岸小学校●横須賀市のwebサイト
公開日:2024年07月05日 11:00:00
更新日:2024年07月05日 12:33:30
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本校DX事情 -
今どきの「本校DX事情」はどうなっているのか,まとめてレポートします。
あわせて,デジタル-アナログ間にある落とし穴にまつわる,保護者の皆様へのお願い事もあれこれ……。
▶ 授業のDX化
コロナ禍下の一人一台端末前倒し配備から3年目を迎えました。すでにお伝えしてきたとおり,その活用はすっかり定着した感があります。例えば……
教科書やノートみたいに
→ 移動教室などの時も携行しています。生活科や理科,社会のフィールドワーク,音楽や体育の授業で自分のパフォーマンス撮影&振り返り,図工で作品の製作,その過程の記録と共有など,あらゆる局面での活用が進んでいます。
普段の「一斉授業」でこそ
→“一人一台の環境”というと,前項のように教室を飛び出して先生も児童もばらばらに離れた状態で学習を進める光景を連想しがちです。意外と注目されていないのが,全員揃っての一斉授業で活用するケース。これまでは,机間指導しなければ把握できなかったことを,先生が手元でチェックできます。子供たちの考えなどをお互いに共有したり,簡単スライドをつくってプレゼンテーションすることなども可能です。また,クラス全体の傾向をいつでも把握できるようになるため,それを踏まえて,その後の授業展開につなげることもできます。今後は,個別最適な学びを,さらに具現化する課題が残ります。●関連記事(授業実践)
2023年 6月16日 (金) 端末活用はどうなっているのか
2024年 1月25日 (木) 4年生 国語「推敲」
2024年 2月 1日 (木) 5年生 算数 図形▶ 欠席連絡のマチコミ化~全学校で
教育委員会は今年度から市内全校での導入・運用を始めました。本校では既に2年前に導入を完了していますが,デジタルとアナログのはざまでは,所在未確認児童対応,という未解決の問題がたびたび生じています。例えば……
児童の欠席確認の流れはおおむね,以下のようになっていますが……。
児童の安全にかかわる問題なので,デジタルのシステムだけに頼るわけにはいきません。最終確認は電話連絡や捜索活動など,アナログでの対応になります。
児童の所在不明時の対応が遅れたり,抜け落ちたりしてしまったことが原因で,最悪の事態を招くようなことがないように,引き続き,円滑な欠席等連絡にご協力をお願いしています。▶ 校納金等の集金システムにも着手
すでに私たちの日常生活ではキャッシュレス化が加速度的に進んでいます。にもかかわらず,学校の対応は常に立ち遅れてきました。私も保護者の立場では,自宅にコインケースを常備して,(なんだかなぁ……)とか思いつつも,端数までぴったりそろえて,子供に持たせる準備を整えています(-_-;)。
これまで,保護者の皆様から早期導入を,とのお声をいただきつつも,他市町村の動向を見ながら,学校独自での導入はひかえていました。
そのような中でも,今年度から修学旅行費の集金が業者への直接入金方式に切り替わるなど,学校のスピード感にはお構いなく,“学校外”のシステムがグイグイと入り込んでくる,波動のようなものを日々,感じています。
このような動向を受けて,去る4月の市立学校長会議では,この案件への対応を始める旨のお話がありました。給食費と同様に,近年中には教育委員会の主導による,市内全校の一斉導入が実現するかもしれません。▶ 出怠勤管理システム
出勤簿にハンコを押す,旧来の方式からの脱却を進める旨についても,教育委員会から情報提供がありました。
現行のタッチ方式は,出退勤の時刻を記録する機能しか備えていません。新方式への移行が進むと,教職員の服務管理や学校日誌の作成までをも,一貫して管理できるようになるかもしれません。
こちらは,一見すると児童・保護者の皆様には関わりがないように思われますが,実は密接な関係があります。先日,中教審から出た『5.13まとめ』でも示されたように,教職員の服務を望ましい形で管理することが,教育活動の充実等の形で児童・保護者の皆様のwell-beingにつながるからです。▶ 教職員向け校務支援システム
横須賀では他の市町に先駆けて導入と活用が進められてきました。活用開始から既に15年以上が経過しています。
教職員間のメール活用や,教務関係の業務,学習評価にかかる業務(評価情報の処理から通信簿,指導要録作成まで)での活用が定着しています。
会議のペイパレス化は,本校では2年前から開始。児童用の端末を介した情報共有システムと合わせて,教職員間の意思疎通にかかる工夫改善が加速度的に進みました。
ただ,学校ゆえの課題もいくつか…。校務用の端末と児童の学習で活用する一人一台端末は,ネットワークの構築過程から別になっています。このため教員は一人2台の端末を使い分けています。教育委員会の指導主事についてはこれに“行政端末”(予算編成等,庁内業務で使用)を加えた,3台を活用しています。
役所はともかく,学校だけでも一本化できるとよいのですが……。セキュリティーとかあれこれ難しい問題があるのかもしれません。▶ 横須賀は,結構,進んでいる!?
前出の『5,13まとめ』のp.20には以下のような記述があります。ICTは……
個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に必要不可欠なツール/教師の業務負担を軽減し、働き方改革を実現する上でも極めて大きな役割/学校現場に必須のもの/(行政と学校が連携して)学校の ICT 環境整備を進める/GIGA スクール構想の下での校務DXを加速する必要がある/汎用のクラウドツールを活用した教職員間での情報交換の励行/会議資料や各種手続きに係る書類のペーパーレス化/民間企業向けクラウドツールの転用による校務処理の負担軽減/スケジュール管理のオンライン化/学校と保護者等間の連絡手段を原則としてデジタル化この内容に照らしてみると,横須賀市&本校の取組は,結構,良い線を行っているのではないか,と思います。
教育委員会が整えてくださった環境を縦横に使いこなして,教職員のワークライフバランスを整え,心身ともに健康な状態で児童と向き合う時間や,教材研究に費やす時間を確保していきます。公開日:2024年06月13日 09:00:00
更新日:2024年06月18日 19:56:45
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6年生担任でも定時で帰れる学校~本校の働き方改革はどうなっているのか -
5/13付で国の中央教育審議会(質の高い教師の確保特別部会)から審議のまとめ『「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する 総合的な方策について』(以下『5.13まとめ』)が発表されました。 ここには,“学校における働き方改革の更なる加速化”に向けてさまざまな具体策が提示されています。これを受けて本校では標記のスローガンを掲げました。そのココロは……
▶ 「教職員定数」や「処遇」改善に着手?
60ページにも及ぶ『5.13まとめ』の内容は,昨年8月末に公開された『(緊急)提言』(以下『8.28提言』)で取り上げられていたものの続報が多くを占めています。今回,さらに具体が示され,さまざまな視点で報道されているのが,「教職員定数」や「処遇」の改善にかかわる内容。いずれもお金にかかわる話なので,ここで扱うにはちょっと問題が大きすぎるのですが……。
ただ,中でも我々現場関係者の目を引いたことの一つは「学級担任手当」や「持ち授業時数」の在り方にかかわるものでした。これは「お金」の問題に言及する以前に,学校ごとのマネジメントによるやりくりの余地を残すものだからです。▶ 授業時数と持ち時間数って……?
学年ごとの年間総授業時数は学習指導要領で,表のように定められています。ただ,これがそのまま授業時間に組み込まれて,教員一人当たりの持ち時間に反映されているかというと,その限りではありません。
低学年では横須賀独自の「外国語活動」の時間が組まれているほか,1年生のスタートカリキュラム(幼-小を円滑につなげるための指導時間)などが「余剰時間」の中に充当されています。
上半分の学年では逆に,級外の先生が専科教員のような形で一定数の授業を担当して,学級担任の「空き時間」を確保しています。▶ 勤務負担が偏らないように…
このことにより,教員一人当たりの持ち時間は,ある程度均一になるように調整しているのですが,計算式が割り出す数字だけでは割り切れない要素も多々あります。例えば……
特別支援学級の担任は,実態として,空き時間がありません。級外の先生たちも,ひとたび補欠の要請があれば,代替者として出動することが求められます。ときには,校務分掌とは別にいわゆる“隙間シゴト”をこなさなければならない局面も多くあります。
これらに加えて育児等にかかる短時間勤務や部分休業等,ワークライフバランスにも配慮しなければなりません。様々な条件を総合的に考えあわせて,教職員間で勤務負担が偏らないような調整を図っています。▶ 「学級担任手当」新設?
とはいっても,学級担任の負担が相当なものである(勤務時間外の在校時間が長い),ということが調査で明らかになっています。これを受けて,『5.13まとめ』(p.51)では,職務の負担に応じ,「学級担任について手当額を加算することの必要」性が,新たに示されました。
ただ,実際に見直すとなると,あれこれ難しい問題も出てきそうです。『5.13まとめ』でも触れているように,複数担任制や教科担任制の導入等によって,学級担任の負担軽減を図る余地があれこれ残されているからです。
そうでなくてもこの「学級担任手当」の制度化までには,まだまだ時間がかかりそうです。そのさ中にあっても児童の皆さんの学校生活は日々,続いていくわけで……。
そこで掲げたのが,標題にある「6年生でも……」でした。▶ 6年生担任でも定時で帰れる学校
“誰が”,とか“何年生が”とか,教職員間の“タイヘンさ”比べが始まると,それこそ大変なことになるので,もちろんそんなことはしていません。でもまあ,学級担任って大変だよね,とか,学年が上がればそれなりに大変になるよね……というのは誰もが認めるところだと思います。
実際,上の学年の担い手不足で悩んでいる学校は少なくありません。学年担任が3年間持ち上がりになるのが普通になっている中学校とは違って,“小学校あるある”といってよいかも知れません……。
本校の場合は,こういうことを平気で話題にできてしまえるくらいなので,管理職としては大変ありがたいな……と思っています。
そこで,このスローガン。
ユニバーサル・デザインの考え方と同じで,より大変そうな方たちにとって優しい環境づくりは,そうでない人たちにとってもご利益のあるものになる。それがやがては教職員のみならず,児童・保護者・地域の皆様のwell-beeingにつながっていく……。
この考え方を常に念頭に置いて,「6年生でも定時で帰れる学校」を目指していきたいと思っています。★ この考え方の初出記事は学校運営協議会報告(R5年度第2回)にあります。過去の協議記録とも併せてご参照ください。
公開日:2024年05月24日 09:00:00
更新日:2024年06月12日 12:12:35
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2024/5/14 審議のまとめ,出ました -
4/23付のこちらのコーナーでふれた中教審特別部会の審議のまとめが公開されました。
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/099/mext_01759.html
すでに各メディアに上がっていますが,制度が形になるまでには相当の時間がかかります。でも目の前では日々,子どもたちの学びは続いている……。本校ではこれまで通り,誰かが何かをしてくれるのをただ待つのではなく,自分たちから声を上げて,真に「子供たちのため」になる方策をとっていきます。
●過去の関連記事
2023年 11月 9日 (木 )本校の働き方改革はどうなっているのか -2公開日:2024年05月14日 08:00:00
更新日:2024年05月16日 10:54:00
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質の高い教師の確保特別部会 審議のまとめ素案 -
学習評価の研究を進める中で,文部科学省の中教審(中央教育審議会)の審議経過をまめにチェックする習慣が身に付いてしまいました。教員の働き方改革について審議する部会の中でも,この特別部会の動向からは目を離せません。前回(4/19)の配布資料の中に,審議のまとめ(ホントのまとめは今月中にも?)に相当するようなもの(素案)がありましたので,早速チェックしました。
●中央教育審議会 初等中等教育分科会
質の高い教師の確保特別部会(第12回) 配付資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/099/siryo/mext_00019.html公開日:2024年04月23日 12:00:00
更新日:2024年05月14日 14:38:08